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このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します. |
千秋,条件付きで機上訓練へ進めることに
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羽田・日本航空乗員訓練センター |
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訓練センターが映る |
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同・訓練課長室 |
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難しい表情で煙草をふかす柿野訓練課長
ノックの音 |
柿野訓練課長
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「はい」 |
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訓練課長室に入ってくる村沢教官、松本千秋 |
村沢教官
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「兄貴、どうなった?松本の再試験の結果は?」 |
柿野訓練課長
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「本来なら松本は当然…」 |
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立ち上がる柿野 |
柿野訓練課長
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「落第するところであったが、俺が演説、また演説、しゃべりまくって松本をかばった為に、極めて異例ではあるが条件付きで機上訓練に進めることになった」 |
村沢教官
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「条件?どんな条件だ?」 |
柿野訓練課長
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「松本がジャンボに乗って最初に受ける機上訓練は村沢、おまえが付き添って厳格に指導をすること。その結果松本が優秀なスチュワーデスになれそうだったら、改めて合格と認めよう。つまりだな、松本は試験はだめだったが、実際の仕事が成功したらスチュワーデスにしてやろう、ということだ。しかし、これはな、異例な決定なんだぞ!村沢、松本感謝してありがたいと思うんだな!」 |
松本千秋
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「村沢教官、松本千秋やっと機上訓練に進めるんですね!長年の夢だったジャンボに乗って大空を飛べるんですね!」 |
村沢教官
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「ああ、そうだ。機上訓練で俺がいつもお前のそばにいてしごいてやる。お前の才能を引っ張り出して、磨き上げて必ず最高のスチュワーデスにしてやるよ!」 |
松本千秋
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「ありがとうございます、教官。わたし、わたしうれしい」 |
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と村沢に抱きつく |
柿野訓練課長
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「松本!」 |
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と机をたたく
離れる村沢と千秋 |
柿野訓練課長
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「ここは訓練課長室だ。男と女が抱き合おう所ではない!それになぁ、感謝されるのは村沢じゃなくてこの俺なんだよ!それを忘れるな!」 |
松本千秋
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「はい、訓練課長、大変ありがとうございました」 |
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と頭を下げる |
松本千秋
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「松本千秋、このご恩は一生忘れません」 |
柿野訓練課長
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「ははははは。非常によろしい。村沢、ほっとして安心してる時じゃないぞ!機上訓練に出た478期生19人のうち、木下さやか、池田兼子の評判が非常に悪いんだ。二人を引き受けたパーサー、ベテランのスチュワーデスの批難や攻撃がとってもひどくってな、このままだと機上訓練は落第だ!訓練センターに追い返されるぞ!」 |
村沢教官
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「よーし、木下、池田の機上訓練も俺が引き受けた」 |
柿野訓練課長
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「うん?」 |
村沢教官
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「松本と同じジャンボに乗せて、3人一緒に徹底的にしごいてやる。正念を叩きなおしてやるよ。兄貴、安心してくれ!」 |
柿野訓練課長
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「よっし」 |
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同・入り口 |
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村沢とともに荷物を引いて訓練センターをでる千秋 |
松本千秋
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「教官、私もとうとうこのカートを引いて歩けるようになったんですね?みんな教官のおかげです。本当にありがとうございます」 |
村沢教官
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「松本、おまえが機上訓練のために乗るジャンボは明日の成田発ローマ行きだ。すぐ、羽田の寮に帰って支度をしろ」 |
松本千秋
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「はい、松本千秋、寮に帰って支度をします」 |
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バスに乗り込む千秋
走り出すバス
その様子を見ていた新藤真理子 |
新藤真理子
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「あのドジでマヌケな小娘が機上訓練に進むことになったんですって?癪に障るけど、まあ、おめでとうと言っとくわね。これであなたもやっとあのこから開放されたんですもの。あたし、明日の飛行機でローマに飛ぶわ。あなたもすぐイタリアのアッシジに来てよ。あたしたちこのサンフランチェスコ教会で結婚式を挙げるんだから」 |
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とサンフランチェスコ教会の写真を村沢に見せる |
村沢教官
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「俺も明日の飛行機でローマに飛ぶ。木下、池田、松本、3人の478期生を機上訓練でしごくためだ」 |
新藤真理子
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「浩。まだ松本千秋の訓練を続けるつもり?冗談じゃない。あたしはイタリアのアッシジで、このサンフランチェスコ教会であなたを待ってる。もしあなたが来なかったら、あたし死ぬ、死ぬわ」 |
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手袋を口で外す真理子 |
新藤真理子
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「そうなったら、村沢浩は、大悪人ね。この通り新藤真理子この両手をもぎ取った上に、命まで奪うんだから、血も涙もない冷たい男よ。恐ろしい鬼よ」 |
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(2005/12/28改)
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