くれない寮-スチュワーデス物語-脚本第21話「恋のゆくえ！！」-成績の検討会議


このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します．

成績の検討会議
17	羽田・日本航空乗員訓練センター・会議室
	松本千秋の再試験の検討会議をしている
柿野訓練課長	「総合試験に落ちた…」
	立ち上がる柿野
柿野訓練課長	「松本千秋の再試験の結果ですが、全科目80点以上取らなければ合格できないのに80点に達していない科目がまだ3つもある。ひとつは78点、ひとつは74点、もうひとつは71点。これでは再試験に落第、松本千秋は訓練センターを辞めてスチュワーデスを諦めてもらうしかない、これが皆さん試験官の一致したご意見ですな」
試験官1	「そうです。訓練センターの試験規則は破れません」
	立ち上がる村沢教官
村沢教官	「確かに規則は規則です。絶対に守るべきだと思いますが、わずかに足りない点数のために松本千秋の一生の夢をぶち壊したくありません。松本千秋はドジじでバカでノロマで、その上内気で臆病であがり症です。試験でいい成績がとれなくて当然ですが、しかし、あの子は気持ちがやさしくてあたたかくてその上根性があります。スチュワーデスとしてジャンボに乗り込んだら、きっとお客様を大事にして一生懸命働くでしょう。たった3科目の点が足りないために将来優秀なスチュワーデスになれる子を見捨てていいんでしょうか？僕は反対です。絶対反対します」
柿野訓練課長	「私も反対です。皆さんもご承知の通り、この柿野竜太の夢は…」
	立ち上がる柿野
柿野訓練課長	「訓練センターに入ってきた訓練生を一人残らずスチュワーデスに育てて世界の空を鶴のマークのお姉ちゃんでいっぱいにすることです。そして私は今まで訓練生を何千何百と預かってきたが一人も落ちこぼれは出していない。皆さん。何とか松本千秋を、松本千秋を合格させてやってください。そしてこの柿野の夢、赫赫たる歴史を守って欲しいんです。無理なお願いかもしれない。是非聞いていただきたいんです。皆さんに、皆さん全員に頭を下げます。この通りです。お願いします。お願いします。お願いします」
	と頭を下げる
18	羽田・東京国際空港
	動き出すジャンボに向かって立っている村沢
	手に絵葉書を持って駆け寄っていく松本千秋
松本千秋	「教官、村沢教官」
村沢教官	「何だ、松本？」
松本千秋	「教官、私、再試験に合格したんですか？それともまた落第したんですか？」
村沢教官	「今、訓練課長と試験官がお前の成績を検討中だ。何だその絵葉書は？」
松本千秋	信子さんと友子さんと克美さんから来たんです」
	絵葉書を手に取る村沢
石田信子	「(OFF)私の乗ったジャンボはスチュワーデスの見習いとして無我夢中で働いているうちにロンドンに着いたわ。ロンドンってさすがに世界の首都だった町、大きくて静かでどっしりと落ち着いているわ」
中島友子	「(OFF)カナダのバンクーバーに無事着陸ッ。機上訓練の厳しさといったらそりゃもう大変ッ。でもカナダは美しくてロマンティックな国よ。大好きになっちゃったッ。一生住んでみたい」
落合克美	「(OFF)ジャンボの中を右往左往しているうちに、ハワイ・ホノルルに到着。機上訓練でクタクタに疲れて楽しみにしていたフラダンスはただ見物するだけ。だけどハワイはやっぱり太平洋のパラダイス。とっても素敵よ」
村沢教官	「3人ともどうやら最初の機上訓練を無事に済ませたらしいな。しかし、木下さやかと池田兼子の絵葉書がないぞ。どうしたんだ？」
松本千秋	「二人とも到着地に着いたらすぐ葉書を出すって言ってたんですけど」
村沢教官	「みんな元気だといいが」
	腕時計を見る村沢
村沢教官	「松本、再試験に合格したか落第したかもう結果が出たはずだ。訓練課長に会いに行こう」
松本千秋	「は、はい」



(2005/12/28改)

| ホーム | 個人情報 | 免責事項 | リンク | 推奨環境 | 著作権 | ご意見・ご要望 | 情報提供 |