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このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します. |
空中飯盛り女
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日本航空スチュワーデス採用試験会場・日本航空乗員訓練センターの面接試験室 |
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面接試験官Aに案内され、無言のまま笑顔でお辞儀をしながら試験室に入る中島友子 |
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字幕・第一次試験 |
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続いて、無表情のままお辞儀をして試験室に入る池田兼子、石田信子
やや笑顔でお辞儀をして試験室に入る木下さやか
緊張した表情で深々と頭を下げて試験室入る松本千秋
試験室の扉を閉める日本航空職員
5人は試験官の前に一列に並んで立っている |
村沢教官
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「座りなさい」 |
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着席する5人
(さやかと信子の後ろの壁には「翼は休みなく。」のポスターが貼ってある)
頬にバンドエイドを貼っている村沢に気づき動揺する千秋
村沢も自分の顔を引っ掻いた相手だと気づき、千秋を睨みながら自分の頬を右手でたたく
さらに動揺する千秋 |
村沢教官
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「どうしてスチュワーデスの試験を受けたか一人ずつはっきり話して下さい」 |
中島友子
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「はい」 |
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と緊張しながら返事をする友子 |
中島友子
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「あの、パパはぁ、いぇ、あの、父はぁ日本航空のぉ整備士ですしぃ、ママもぉ、いえ、あの、母もぉスチュワーデスでしたのでぇ、あたしも、その、小学生の時からスチュワーデスになろうと思って、へへ、つまり、あたしのうち航空一家なんです。うふっ」 |
池田兼子
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「あたし、飛行機で世界中を飛び回り、あらゆる国々の文化、様々な民族、人々と交流しましてインターナショナルグローバルな教養を身につけ、より一層自分の人格を高めたい、そう考えたものですから」 |
村沢教官
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「君、知ってるね?スチュワーデスに眼鏡は禁止されてるんだよ」 |
池田兼子
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「あー、あのぉ。それはよう分かってるんですけど、いや、よく分かってるんですけども、試験に合格しましたら必ずコンタクトレンズに変えますので」 |
石田信子
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「あたし、大学時代英文科でした。好きで得意な英語を生かすにはスチュワーデスになるのが一番いいと思いまして」 |
木下さやか
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「私の家、おそば屋なんです。おそば屋で育ったせいか、接客サービスの仕事が大好きで、お客様の相手をしている時の自分が一番生き生きしているなって、自分でもとってもうれしくなっちゃうんです」 |
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緊張しながら話し出す千秋 |
松本千秋
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「わ、わたし、空が、空が好きで好きで、その空を飛ぶ飛行機に、小さい時からすごく憧れてたんです」 |
村沢教官
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「だから、スチュワーデスになりたいの?」 |
松本千秋
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「そうなんです。一日も早くスチュワーデスになって、家を出たいんです」 |
村沢教官
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「家を出たい?」 |
松本千秋
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「あたしのお母さん5年前に再婚したんですけれども、新しくお父さんになった人がどうしても好きになれなくて。だ、だから家を出て一人で自由に生きたいんです」 |
村沢教官
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「わがままだね、君は。新しい父親ともうまくやっていけないなんて、全然協調性がないよ。そんな君がスチュワーデスになったって狭い飛行機の中で、先輩や仲間たちと仲良くやっていけるかな?」 |
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と腕を組む村沢 |
松本千秋
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「で、でも、あたし、どうしてもスチュワーデスに」 |
村沢教官
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「君はスチュワーデスに向いてないね」 |
松本千秋
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「どうしてそう決めつけるんです?」 |
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と席を立ち、村沢に詰め寄る千秋 |
松本千秋
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「あたしはだめですか?試験に落ちるんですか?なぜです?私があなたを痴漢と間違えて顔を引っ掻いたからですか?それであたしに腹を立てて、そうなんですね?そうなんだわ」 |
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と村沢を睨みつける千秋 |
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ブザーが鳴る
ブザーのスイッチを止める村沢 |
村沢教官
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「はい、結構。次のグループ」 |
試験官A
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「はい」 |
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さやかたちに机から引き離されるように面接試験室から出る千秋 |
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(2010/12/15)
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