くれない寮-スチュワーデス物語-脚本第20話「ないしょ話」-総合最終試験第1限目


このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します．

総合最終試験第1限目
26	日本航空乗員訓練センター
	総合最終試験第１限目と書かれた黒板が映る整列している478期訓練生
27	同・廊下
	歩いてくる柿野訓練課長、村沢教官
鈴野はなえ	「礼」
478期訓練生	「おはようございます。よろしくお願い致します」
柿野訓練課長	「いよいよ、今日からお前達の総合最終試験が始まる。この試験に合格すれば今までの努力が実り、お前達は機上訓練に進み、永年の夢であったスチュワーデスになる事ができる。しかし、この試験にもし落ちたら、今までの努力が水の泡と化し、お前たちは永久にスチュワーデスになることができない。頼んだぞ、478期！」
478期訓練生	「はい！」
村沢教官	「試験は接客態度のテストから始まる。お客様になってお前たちの相手をして下さるのはこの訓練センターの教官の方たちだ。みんな努力して合格点80点以上を必ずとってくれ！」
478期訓練生	「はい！」
	総合最終試験第１限目接客における言葉使いと書かれた黒板が映る
中島友子	「(OFF)お客様申し訳ございません」
28	同・モックアップ内
中島友子	「あいにく満席なんですぅ」
試験官1	「君、そのかわいこぶりっこは見苦しいよ」
中島友子	「はい、失礼致しましたぁ」
試験官2	「語尾を引っ張らない！」
中島友子	「はい！」
29	同・モックアップ外
	試験の様子を見守る478期訓練生
試験官1	「（OFF)君、出身は何処？」
中島友子	「(OFF)はいっ！東京ですぅ」
試験官3	「”ですぅ。”じゃないでしょ、”です。”」
中島友子	「(OFF)はい」
試験官3	「(OFF)そこまで」
中島友子	「(OFF)ありがとうございましたぁ.」
	モックアップから元気のない表情で出てくる中島友子
木下さやか	「どうしたの、友子。あがってんの？らしくないよ」
中島友子	「だって、厳しいもん！」
	と声をひそめる
試験官4	「(OFF)次」
試験官4	「池田兼子さん」
池田兼子	「はい。」
	と返事をしてモックアップの中へ入る
池田兼子	「よろしくお願い致します」
	絵はがきを勧め始める兼子
池田兼子	「お客様。絵はがきはいかがでしょうか？絵はがきはいかがですか？絵はがきはいかがでしょうか？」
試験官5	「ちょっと、スチュワーデスさん」
池田兼子	「はい。何でございましょうか？」
試験官5	「あのね、私、ローマで降りてイタリア見物したいねんけど、どんな名所見てまわったらいいんでしょう」
池田兼子	「いやぁ、お客さん、大阪の人ですか？いやん、懐かしいわぁ。イタリアの名所というと、古代の遺跡でしたら、ローマ。ルネッサンスの絵と彫刻でしたらフィレンツェ。そしてなんといっても景色がいいのはナポリと決まってるんですよ」
試験官5	「スチュワーデスさん」
池田兼子	「はい」
試験官5	「飛行機の中で大阪弁使ってもいいの？」
池田兼子	「あ、そうでした。申し訳ございません」
	と頭を下げる
試験官5	「スチュワーデスは必ず標準語を喋ること」
池田兼子	「はい」
試験官5	「その他のイタリアの名所は？」
池田兼子	「はい。水の都ベニス。これはなんといっても、本当にゴンドラに乗ったらねぇ、ほんまにロマンチックでねぇ…え…いえ」
試験官5	「ほらまた出た。そんな事では落第ですよ！」
	厳しい表情で見守る柿野、村沢
池田兼子	「(OFF)は、はい。気を付けます」
試験官5	「はい」



協力：風間千秋さん (2005/12/28改)

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