くれない寮-スチュワーデス物語-脚本第8話「初めてのキッス」-授業中に失神する千秋


このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します。

授業中に失神する千秋
33	羽田・日本航空乗員訓練センター
	訓練センターが映る
34	同・モックアップ・キャビン
村沢教官	「これからシャンペンサービスの実習をやる。みんな見ろ。これがシャンペンだ。シャンペンはお客様に見えるように、ラベルを上にして、右でも左でもいい、利き腕で持って、片方の手はリネンを持つ、初めはゆっくりついで、グラスの鶴のマークの下までついだら、瓶を右に回して雫を切るそしてリネンで瓶の口を押さえる。どうだ、芸術的だろ？松本やってみろ」
松本千秋	「は、はい」
	緊張で瓶を持つ手が震える千秋
火山教官	「どうしたの？あなたの持ってるは時限爆弾じゃないの。ただのお酒、しっかり」
村沢教官	「スチュワーデスさんシャンペンをくれないか？」
松本千秋	「はい」
村沢教官	「(OFF)松本」
村沢教官	「乗客にちんと向かってサービスしろ」
松本千秋	「はい。お客さま、シャンペンでございます」
村沢教官	「松本、瓶が重かったら両手でつげ」
火山教官	「気楽にやるの、気楽に」
松本千秋	「はい」
	グラスにシャンペンを注ぐが手が震えてこぼれる心配そうに見守る478期訓練生意識を失い村沢に倒れ掛かる千秋シャンペンの瓶が割れ、騒ぎ出す478期訓練生
中島友子	「ちょっと千秋」
村沢教官	「松本」
火山教官	「松本さんどうしたの？」
35	同・休養室前の廊下
	休養室から出てくる村沢駆けつける柿野訓練課長
柿野訓練課長	「おうっ、今度は松本が訓練中に失神したのか？」
村沢教官	「心配しないでください。緊張しすぎて脳貧血を起こしただけです」
柿野訓練課長	「ああ」
村沢教官	「それよりあいつ、課長と二人っきりで話したいそうなんです」
柿野訓練課長	「俺と二人っきりで？また教室の事件のことか。ああつ」
	休養室に入る柿野
36	同・休養室
柿野訓練課長	「何だ何だ、近頃の訓練生は課長を呼び出すなんて生意気だぞ」
	ベッドから起き上がる千秋
松本千秋	「訓練課長、お願いがあります」
柿野訓練課長	「何だ、言ってみろ」
松本千秋	「村沢教官を絶対クビにしないでください」
	と柿野の腕をつかむ
37	同・休養室前の廊下
	休養室の中の声を聞いている村沢
38	同・休養室
松本千秋	「私の義理のお父さんとても悪い人なんです。今度だってあの人教官が私に乱暴したなんてでたらめばかり言って」
柿野訓練課長	「松本、落ち着け。落ち着くんだ。お父さんはどうしてそんなことするんだ」
松本千秋	「よくわからないけど、教官をクビにして訓練所を追い出したいんです。課長、村沢教官はとてもいい人なんです。訓練生をひどくしごくけど、でもほんとは男らしくて、やさしくて、暖かくて」
	両手で柿野の肩をつかむ千秋
松本千秋	「課長、お願いです、村沢教官を疑ったりクビにしないでください。悪いのは私のお父さんだけなんです」
柿野訓練課長	「松本、義理のお父さんのこと、どうして今まで言わなかったんだ？」
松本千秋	「義理でも、お父さんはお父さんだから。だから私、苦しくて、苦しくて」
柿野訓練課長	「ようし、わかった。独りで苦しむなんて辛かったろ。意地らしい奴だ。松本、心配するな。俺が義理のお父さんみ会って話してすべて解決してやるよ」
松本千秋	「本当ですか。課長」
柿野訓練課長	「ああ本当だ。しかし松本、村沢のことが心配で気を失うとはお前そんなに村沢のことが好きなのか？」
	千秋を寝かす柿野ベッドから起き上がる千秋
松本千秋	「はい、好きです。大好きです。死ぬほど好きです」
39	同・休養室前の廊下
	休養室の中の声を聞いてじーんとくる村沢



(2005/12/28改)

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