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脚本 第8話「初めてのキッス」
このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します。

千秋の実家に押しかける真理子

17
松本千秋の実家近く・昼間
運転手付のベンツに乗っている新藤真理子
18
松本千秋の実家
新聞を読みながら酒を飲んでいる松本千秋の義父・松本清治
玄関のチャイムが鳴る
松本清治
「また、またサラ金の取立てだよ。」
松本弓子
「はぁ」
松本清治
「いいか、お前、うまく追い返せ」
松本弓子
「うん、はーい」
階段の陰に隠れる松本清治
玄関を開ける松本弓子
新藤真理子が現れる
頭を下げる真理子
新藤真理子
「はじめまして、あたくし新藤真理子と申します。ご主人様にお目にかかりたいのですが」
松本清治
「なあんだ、お嬢様ですか。はっは、どうぞどうぞ。むさっくるしい店ですが、どうぞおあがり下さい」
新藤真理子
「あたし、煙草を切らしてしまって、ラークですけど」
松本清治
「はあはあ、はい、分かりました。いいか、駅前の煙草屋に行ってな、ラークだ、ラークだ。それから果物屋寄ってどびきり上等な果物買ってこい。こちらは俺にとっちゃあ大事なお客なんだから。分かったな、行け、早く」
松本弓子
「は、はいはい」
松本清治
「ははは、どうも」
新藤真理子
「松本さん、あなた競馬や麻雀、いろんなギャンブルに手を出して借金だらけ。サラ金には毎日脅かされるし、この家も抵当に入っているそうね」
松本清治
「えっへへ。ごほん。よくご存知ですね」
新藤真理子
「探偵社にちょっと調べてもらったの」
松本清治
「参ったなあ、やあ、全くね毎日が火の車。地獄ですよ。首でも吊って自殺しようかと思っているくらいです」
新藤真理子
「その地獄からあなたを助け出してあげましょうか。あたしは一人娘、父の財産がかなり自由になるの。あなたの借金位きれいさっぱり払えるわ」
松本清治
「そうしていただけたらどんなに助かるか。私生き返りますよ」
新藤真理子
「その代わりやっていただきたいことがあるの、引き受けて下さる?」
松本清治
「ええそりゃ、何でも。お金になることでしたら」
新藤真理子
「村沢浩を罠にかけてスチュワーデスの教官を辞めさせたいの」
松本清治
「村沢をクビ、クビにしたいんですか?しかし彼はあなたの結婚相手でしょ?」
新藤真理子
「それなのに浩ったらあなたの義理の娘さんとキスしているのよ
松本清治
「千秋と?キスを?」
新藤真理子
「そんな浩、あたし絶対に許せないの」
と自分の義手を見る
松本清治
「わかりました。千秋とキスしている現場でも押さえればこっちのもんだ。はい、私に任せてください」

(2005/12/28改)
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